今季は「飛ばないボール」 スピード野球に回帰へ

■ホームラン数減少「弱投」一因は解消

 広島は、広島市民球場など主催試合での使用球を、
今季から従来より反発力を抑えた新ボールにすることが26日、分かった。
いわゆる「飛ばないボール」で、乱発する本塁打を抑え、
守りと足を絡めたスピード感のある野球に回帰するのが狙い。
大味な野球の脱却も目指している。

 昨季の広島市民球場では、神宮と東京ドームに続く196本塁打が飛び交った。
セ・リーグ6球場の中で最も狭い上、ボールの材質や打撃技術の向上が理由で、
1試合平均本塁打は3本を超え、1991年の2倍強になった。

 投手力が弱点のチーム事情も影響し、市民球場の被本塁打は昨年が98本で、
一昨年は初めて100本を突破した。
最近5年間ではチーム本塁打より被弾数の上回るシーズンが3度あり、
「地の利」を生かせないのが現状だった。

 球団は”弱投”の一因には「飛ぶボール」もあると判断。
新ボールでチーム本塁打も減るが、1点の攻防に機動力や守りの比重を高める
チームづくりにつなげる方針だ。
鈴木清明球団副本部長は「狭い市民球場は当たり損ねも本塁打になってきた。
広島は足を使う野球を目指しているわけだから、これをいい機会にしたい」と説明する。

 契約するボールメーカー(那須)の開発した新ボールは、反発係数が低い。
試作品を昨秋のキャンプでテストし、春季キャンプから使用する。
選手側に戸惑いはなく、黒田は「あの打球がスタンドに入るのか、
というシーンが減ると思うだけでも違う」と好意的。
昨季32本塁打を放った嶋は「ボールをしっかり打つということに変わりはないから、
あまり関係ない」と気にはしていない。

 球界では、巨人や横浜などが飛ばないボールの採用を決めている。
27日にある12球団監督会議では、「ボール論議」が話題になりそうだ。

 プロ野球の公式戦使用球 公認野球規則が定める規格は
重量141.7―148.8グラム、周囲22.9―23.5センチ。
反発係数「0.4134―0.4374」の範囲に入ると合格となる。
反発係数の検査は財団法人車両検査協会の電子式計測器で実施。
最上限と最下限では飛距離に5、6メートルの差が出るといわれる。
                              (中国新聞